高橋矯正歯科 クリニック
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矯正治療後の歯列の安定性について

高橋矯正歯科クリニック(東京・世田谷)

<矯正治療後の歯列の安定性について>

高橋矯正歯科クリニック(東京・世田谷) 院長 高橋 治

 せっかく矯正治療を受けたのに何年か経ったら歯並びがまた乱れてきてしまったという話を耳にすることがあります。決して安くない治療費と決して短くはない期間をかけて歯列矯正をしたのにその結果が長期間維持できないというのでは困ります。
 矯正装置を使用すれば歯は並びます。しかし矯正装置を外した後に歯は「必ず」元の位置に戻ろうとします。矯正装置を外した瞬間に歯並びが整っていても、数年後に乱れてしまっては意味がありません。
 「短期間で歯並びが治る」、「歯を抜かないでも歯並びが治る」、「見えない(目立たない)装置で気づかれずに歯並びが治る」などは、治療法を選択する基準として大きな要素を占めるものです。しかし、ここに、もう一つ「歯並びが治った後に後戻りしない」という基準を加えて考えてみてください。
 これらの要素のバランスがうまく釣りあった矯正治療が好ましいものと私は考えます。

 矯正治療終了後に生ずる歯列の好ましくない変化を「後戻り(あともどり)」、「再発」、「リラップス(relapse)」などといいます。
 後戻りが生じる要因としては、「不正咬合の原因が残っている場合」、「不十分な矯正歯科治療」、「不十分な保定」などが挙げられます。
(歯科矯正学(第4版)医歯薬出版株式会社、2002年より一部改変)
 まず、不正咬合の原因が残っている場合についてですが、最も重要な問題として、「顎の骨のアンバランスな成長発育」が挙げられます。不正咬合は、遺伝的な原因と環境的な原因とが共に作用して生じます。このうち環境的な要因は治療によりある程度コントロールできますが、遺伝的な問題のコントロールは容易ではありません。比較的軽度な不正咬合の場合、低年齢から矯正を開始して小学生のうちに治療を終えることができる場合もありますが、遺伝的な要素が強い複雑な不正咬合の場合、思春期における成長発育を見極めないと本当のゴールにはたどり着けない場合が多いのです。これを見誤ってしまい、あまりに早期から矯正治療を進めてしまうと、経過が長期に渡りすぎて全体としては効率が悪いということになってしまいがちです。
 小児矯正や床矯正装置を用いた子供の歯並びをうたったHPや本の治療例にはすばらしいものもありますが、中には術後数か月から数年程の記録しか提示していないものもあります。重要なのは、「小児期にお受けになった矯正治療の結果が大人になっても保たれていること」なのですが、術後の長期経過を見ることができないのでは心もとない気がします。
 成長過程はもとより、成人以降の歯並びの状態までを見据えた長期展望に立った治療計画に従うことで、後戻りを最小限に防ぐことができると私は思います。
 また、不正咬合の原因が残っているということに関して、比較的よく見られるものとして、「舌癖」、「異常嚥下癖」、「噛みしめ癖」、「ブラキシズム」などと称される筋肉の機能の不調和が挙げられます。歯は、舌、口唇、咀嚼筋など周りにある筋肉の力を受けていますが、そのバランスが崩れている場合、歯並びは正しい形を保つことができません。そのような状態が見られる場合には、矯正治療とともに機能改善の方策を講じる必要があります。その他、咬唇癖、咬爪癖、口呼吸、低位舌、指しゃぶり、頬杖、偏咀嚼癖、不適切な睡眠態癖などが残っている場合も後戻りの原因となります。
 これらの問題への対処法には「口腔筋機能療法」という名前の訓練法があります。すべての歯科医院で取り入れているわけではありませんが、筋肉の機能の問題がある不正咬合の治療には有効であると私は感じています。
 次に、不十分な矯正歯科治療について話を進めます。矯正治療で大切なのは、前歯も奥歯も正しく並んで正しく噛み合っており、顎の骨、顎の関節、周りの筋肉と調和のとれた位置にあるということです。「短期間」、「歯を抜かない」、「見えない(目立たない)」などの利便性と、「正しい咬合」、「長期間安定した歯並び」という実は一番重要な矯正治療の目標とのバランスが大切です。私はなるべく「短期間」で、なるべく「歯を抜かないで」、なるべく「見えない(目立たない)」矯正治療を目指していますが、だからといって長期安定性を損なうタイプの治療をしたくありません。
 また、小臼歯を抜く治療(抜歯治療)と抜かない治療(非抜歯治療)のどちらが良いかという話がよく出ますが、最も重要なのは診断であり、「抜かなければ満足な結果が得られないのに抜かないで治療した」とか「抜いてはならないのに抜いてしまった」などという治療が行われると後戻りが生じやすいのです。 抜歯・非抜歯の判断には、ガタガタの具合だけでなく、奥歯のかみ合わせ、前歯の出具合、口元の形、上下のあごの骨の形や位置、歯列の垂直的なゆがみ(スピー湾曲)、歯根や歯周組織の状態などを総合的に見る診断力が必要です。時には、「抜歯矯正は前歯しか見ていない」とか「小臼歯を抜歯すると顎関節への負担が増える」などという一部の見解を目にすることがありますが、このようなコメントは公平性や実証性に乏しいものです。セカンドオピニオンを求めるなどして広く情報をお集めになることをお勧めします。
 インターネット上の情報は錯綜しており、見極めは容易ではないかもしれませんが、長期安定症例を提示できるような実力をもつ矯正歯科の専門医は全国に多数おります。ただし、これらの歯科医師、歯科医院がインターネット上で「有名」であるとは限らないというのが現状です。
 矯正歯科治療には「標準治療」と認められる治療指針があり、ここからあまりかけ離れた「最新式の」治療法はまだ実証性に乏しい場合がありますので、そのような治療にご興味をお持ちの場合にはその安全性や有効性について良く説明をお受けになってください。そして日本矯正歯科学会の認定医、専門医の名簿などをある程度ご参考になさりながら、実際にカウンセリングをお受けになるなどして、歯科医師、歯科医院を比較検討なさることをお勧めします。
 最後に、保定装置についてお話します。「歯は元の位置を長期間覚えている」と言われます。矯正治療が適切に行われ、原因が除去されていれば、元の歯並びにすっかり戻ってしまうことはありませんが、矯正治療を終了した直後の歯並びに比べ、時間がたつとなんとなく少し乱れてきたという現象が見られるかもしれません。これを防ぐために、保定装置が用いられることが多いです。保定装置には、取り外しのできるもの(可撤式)と、歯の裏側の見えないところに張り付けるもの(固定式)がありますが、個々の状況に応じて使い分けられます。可撤式の保定装置は透明のものもありますので、着けていても気づかれにくいと思います。装着期間は歯並びの状態によって様々ですが、特に矯正装置を外した直後には歯はまだ安定していないことが多いため、指示通りのご使用をお勧めします。
 以上のことに気をつけながら、矯正治療後にも虫歯や歯周病にならないように定期的な健診を続けることで、健康な良く噛める美しい歯列を長期間維持できます。私の症例ではありますが、長期間安定している例をいくつかお見せいたします。


歯並び治療の長期安定症例です

症例1.歯を抜かないで矯正した反対咬合の治療例です。治療例7の方です。)
治療前(8歳) 治療後(14歳) 治療後14年(28歳)


症例2.小臼歯を抜いて矯正した反対咬合の治療例です。
治療前(33歳) 治療後(36歳) 治療後15年(51歳)


症例3.歯を抜かないで矯正した上顎前突の治療例です。
治療前(10歳) 治療後(13歳) 治療後12年(25歳)


症例4.小臼歯を抜いて矯正した上顎前突の治療例です。
治療前(14歳) 治療後(16歳) 治療後10年(26歳)


症例5.小臼歯を抜いて矯正した開咬の治療例です。
治療前(14歳) 治療後(17歳) 治療後16年(33歳)



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